ウィンドウズ環境になってしまったので、絵の中に日本語を取り込めません。
(…ちょっとマックが欲しい瞬間) |
前回の「病気の三角形」と呼ばれる図から少し発展したものが「病気のピラミッド」です。再び基本的な病気の起こる条件を示しています。環境条件、ホスト(病気になる固体、作物、「宿主」ですね)の有無、そして、病原(病気を起こさせる固体)の有無に「時間」と言うコンセプトが足されています。(絵を見て手抜きだと言わないで〜) 三角形では平面的に三つの条件がうまく重なる事(=病気の発生)を表していましたが、今回は時間による影響も取り込んだわけです。 「時間」の単位は色々な解釈ができますが、今回は一年単位(もしくは作物の育つ季節)で見ていきたいと思います。例はイチゴのカビ、灰色カビです。(下の写真を参照してください。学術名はBotrytis cinerea )スーパーでイチゴを買ってきてパックのままテーブルにおいて置いたら数日でイチゴが灰色の物体で覆われたことはありませんか?湿ったままスーパーの袋の中に置いておいたねぎの葉っぱから出てくる灰色の物体も基本的に同じものです。 灰色カビの好む環境条件は少し暖かい温度と多湿です。↑の用にビニールで植物を覆った状態では湿度が高くなりますから、このカビが生える確立が高くなるわけです。灰色の物体そのものはカビの胞子の塊なので、一度繁殖すると何万もの胞子が空中に放たれます。と言うわけで病原菌の有無という点では常に「有り」の状態ですね。 そしてこのカビは柔らかくて新鮮な植物ならほとんどわけへだてなく取り付くことができます。宿主には困らないと言うわけです。
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こんなに条件に恵まれているのではどうしようもない、ところでどこに「時間」が絡んでくるのだ、と思った方は鋭いです。このカビは恐らく一番取り扱うのが難しい物の一つです。でもそれなりに対処の仕方はあるのです。 まずは「時間」の概念に戻りましょう。この場合時間が絡んでくるのは主に1)イチゴが育って居るときの時間とカビの育つ時間、2)イチゴがパックの中に入っている時間とカビの育つ時間です。 農家にとって特に重要なのは1番です。イチゴが育っている時間枠の中のどこでカビがつくのか、それが分かれば効率よく農薬を撒く事ができますよね。効率のよい農薬散布は残留農薬の減少にも繋がりますから、消費者にとっても重要です。で、そのタイミングを探し当てるのが仕事の人達も居るわけなんです。(自分たちなんですけどね) 80年代と90年代にかなりの数の研究が進み今ではよい散布条件が見つかっています。(注:長く感じるかもしれませんがイチゴは基本的に一年に一回しか生らないので、10年やっても10回しかトライ出来ないようなものなのです。)一番の発見はカビが花から入ってくると言う事実です。 カビは蜜線を通って花弁の中に住み着きます。その状態で花を枯らしてしまうこともありますし、ひっそりと機会をうかがうこともあります。その機会とはイチゴの実が熟れた状態(高い糖分)なのです。ですから、イチゴが熟れ始めたときから農薬を散布しても時すでに遅しです。カビはちゃっかりと花の中に居るわけですから。 と言うわけで今では花の咲いている2週間ほどの間、特に雨が降った後に集中して農薬を散布するのが有効的な管理方法となっています。これによって今までシーズンの間(4月のはじめから6月まで)10日おきに散布していた農薬が2週間の間に減らされたのです。 2番のほうですけど、こちらにも時間が少しかかわってきます。熟れきったイチゴにはカビが外から入ってきて取り付くことが可能な上、糖分の塊のようなものですから、カビの繁殖に成功する確率も高いです。それでも取り付いてから繁殖できる状態になるまでにはある程度の時間がかかりますし、温度が低いとその時間はさらに延びます。と言うわけで冷蔵庫に入れるか、買って来たらすぐに食べるのが一番のようです。 つづく (11/25/2002) |
灰色カビ病 |